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モノの最後を看取る送り人(妻より)

 
 うちのダンナはクラッシャー。
 皿を割ったり、息子に買ったコールマンの新品リュックを借りれば、ポケットのジッパーをさっそく壊して帰って来たりなど、いろいろ。

 また壊したのかといつもわたしに叱られ、クラッシャーの異名を持つが、じつはそうでもないのかもしれないと気づいた。

 我が家になにか新しいもの、たとえばお皿などがやってきた時、その時すでにその最後の運命は決められていたのかもしれないというブログを書き(「ものごとの最後/最期を見る」)、
 そうか、すでに終わりが決まっているのだったら、うちのダンナのところでそのモノたちは終わりたかったのだと気づいた。

 モノをいつもとても大切にする智一。
 植物をいつもとても大切に育てる智一。
 必要のないモノをすぐに捨てる妻。

 マザー・テレサは、看護すれば助かる人よりも、まずは死にゆく人々を救った。
「あなたは、この世にのぞまれて生まれてきた大切な人」であることを看護を通じて気づかせ幸せな死を迎える手助けをした。

「あなたのところでモノが壊れる理由がわかったよ」
 と話したら、
「そうだ。じつはオレは送り人なのだ」
 と白状した。

 きっと智一の手で最後/最期を向かえ、幸せな気持ちで、この世にのぞまれて生まれてきた満足感に包まれながらモノたちは最後を終えたことだろう。

 アーメン。

(アーメン。ヘブライ語の「まことに、たしかに!」という意味だが、、「あなたは、たしかに、まことに、この世にのぞまれて生まれてきた大切な人!」という意味で使用しました)





 

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at 12:02, maricro15, -

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2222のメッセージを読みとる男(妻より)

  
 すべてのことはメッセージ。

 これはユーミンの「やさしさに包まれたなら」の歌詞だが、確かによく思う。

 すべてのことはメッセージ。

 メッセージを読みとる能力でいえば、夫はわたしよりも数段、能力が高い。
 昨日寝る前に時計を見たら、
「22時22分」

「おっ、それは数魂(かずたま)のメッセージだね」
 とダンナが言う。

「すべてのことはメッセージ。
 エンジェルナンバー2222。
 信じる心と勇気をもってください。
 すべてはうまくいきます。
 この状況はかかわっているすべての人にとっておのずと解決していきます。
 心配はいりません。
 あなたの祈りはまだ見えなくても、
 カタチになりつつあります。
 そういう意味だ」

「それはわたしにではなく、あなたへのメッセージじゃないの?」
「そうかも(笑)! なにも心配はいらないということだね」

「やさしさに包まれたなら」はスタジオジブリ「魔女の宅急便」のエンディングだが、先日テレビで「千と千尋の神隠し」をやっていて家族で観た。

 白龍となったハクが「コハク川」の神、ニギハヤミコハクヌシであることを思い出したシーンは何度見ても涙が出てくる。
 見る人すべてに、「本当の自分が何者なのか」を気づかせる作用があるからだろう。

 アンパンマンの作者・やなせたかしが、
「ディズニーなんてまだまだ甘い」
 と言っていたが、それはすごくよくわかる。

 わたしは千の大ファンだが、ダンナがわたしの後ろ姿を写真で撮り、
「千を思い起こさせた」
 と嬉しいことを言ってくれた。
 
 わたしのこの後ろ姿に千を感じる。
 わたしたち、けっこういい夫婦かもしれないね。
 

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at 09:07, maricro15, -

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人生の走馬灯を見てみたい!

 

仏の道での“悟り”の例え話として、よく使われる話がある。

 

昔々、2人の僧侶が修行の旅を続けていた。

あるとき、歩いていると前方に、うら若き女性が立ち尽くしている姿が見えた。

理由を聞くと、この数日の大雨で川が氾濫し、道を濁流が分断している。

向こう側に渡りたいのだが、大変に深くて流れも激しく、とても渡れないという。

僧侶の1人が言った。

「では私があなたを肩車して、向こう岸に渡してあげましょう。さあ、私の肩に乗ってください」

はじめ女性は躊躇していたが、僧侶の肩に乗り無事に向こう側に渡ることができた。

 

その後も2人は旅を続けたが、どうにも、もうひとりの僧侶の様子がおかしい。

ずっと押し黙ったまま、不機嫌な顔をしている。

そこで女性を肩車した僧侶が、もうひとりに訊いてみた。

「お前は、どうしたんだ? ずっと黙ったまま、怒りに満ちた顔をしているが」

すると、もうひとりが答えた。

「お前は仏の道の戒律を破ったではないか」

「戒律を破ったとは、どういうことだ?」

「われわれ仏の道に仕える者は、女人の肌に触れてはならぬ。それをお前は、先ほど女を肩車し、肌に触れた」

「何を言っている。あの女人が困っているから助けただけではないか。それにお前は、いつまで過ぎたことにこだわっているのだ」

 

この僧侶は女の肌に触れたくて触れたくて、たまらなかったのだなと思う。

女のやわらかくあつい肌に触れ、においを嗅ぎたかった…

女の陰部を己の首筋に押し当て、甘い湿り気を感じたかった…

そのことで頭がいっぱい。

仏の道なんて、本当の本当のところは、どうでも…どうでも…いいの…

なんだか、せつない男心に胸が熱くはならないが、わかるぜ、人間だもの。

 

先日、街を歩いていたら、前から巨漢の男が歩いてきた。

今年いちばんの蒸し暑さに、男は「ふひーふひー」と激しく鼻息を鳴らしているのが、少し遠くから聞こえてくる。

するとすれ違いざま、何かを落とした。

振り返って見ると、たばこの箱だ。

「箱をポイ捨てか、コラッ!」と、少し戻って拾ってみると、中にはタバコが入っている。

13本。

声をかけてあげようか、ちょっと大きめの声で。

追いかけてみようか、あの巨漢を。

あぁ、面倒臭い。暑いのに…これから仕事なのよ、俺も…

そうこうしているうちに、遠ざかる巨漢。

結局、タバコは自分の胸ポケットにしまってしまった。

 

歩きながら考えた。

やはり声をかけてあげるべきだったか…いや、面倒臭かった。

まぁ、いただいてラッキーということで…いや、俺は汚い、ダメな人間なのか。

因果応報? 次は自分が何かを失くす? いやいや、いろいろ失くしてきましたよ今まで。

金は天下の回りもの、今度はどこかで誰かにお返ししてあげればいいでしょ。

しかし、少し罪悪感。タバコ13本で? いやはや小さいね、俺も。

“生まれてすみません…”“恥の多い生涯を送って来ました…”太宰治かって。

でもこのフレーズ、じつは盗作だったってね…盗作が発覚した作家は、キツイね…

万引きGメンって、1回やってみたいな、あの仕事。「ちょっと、お客さん!」なんてね。

しかし、善とは? 悪とは?…罪と罰、ドストエフスキー。プーチン。柔道家。

いや、悟りとはこういうことか! ああでもない、こうでもないって、その先にあるもの。

でも、結局は火をつけちゃんでしょ、俺。すべてを灰と煙にしちゃうんでしょ。

“燃え尽きちまったぜ、真っ白にな…”これは「あしたのジョー」。

“アンタ、背中が煤けてるぜ…”これは「哭きの竜」。

漫画も小説も、やはりキメぜりふが大切だね…名言とかね、

俺も欲しい〜キメぜりふ!

誰でも一生に一冊は小説が書けるといわれる。

その人だけの人生を。

 

死ぬ直前、人は走馬灯のように自分の人生を振り返るといわれるが、そうかもしれない。

自分の人生におけるポイント、イベントを濃いダイジェストで。

楽しいのだけ見たいけど、キツイのとかも見るのだろう。

それで、「ニューシネマ・パラダイス」のラストシーン、

少年が大人になって、思い出のフィルムを見るように、

微笑んだり、せつなくて泣いたりして。

あぁ、楽しみだ。

 

しかし、この日の、このタバコのことを走馬灯で見るとしたら…

こんな、金玉の小さな出来事が俺の人生の走馬灯?

いや、これこそが大きなターニングポイントだったと?

 

あぁ、楽しみだな、走馬灯!

 

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