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表現者の流儀 #196 満島ひかり

満島ひかり(みつしまひかり 19851130日‐)

女優

 

 

(両親から受け継いだことは)何にも枠を作らないことですかね。

年が上の人と赤ちゃんにも境界線を作らないとか、男の人と女の人の間にも作らないとか、あと人種もないって、全部ない、ない、ないで育っているところはあるかもしれないですねぇ。

 

 

(役者を目指したきっかけは)探偵ものの小説とか、江戸川乱歩とかシャーロック・ホームズとか、そういうのが本当に好きで。

この人たち…ちょっと変わった奇人変人の人たちとは話ができる気がするとか(笑)ずーっと思っていて。

「お父さんとお母さんには私の本当のことなんて絶対に伝わっていないんだ」とか、「あの人たちは、私がお風呂に入っている間に仮面を剥ぎ取った地底人なのかもしれない」とか、なんかもう、みんなを信じてるけど、みんなを疑って生きてる子供だったんです。

何か…なんとなく小学生の時に、たまたま『モスラ2』という映画に出る機会があって、観にお母さんといっしょに行った時に、スクリーンで観た自分の顔を見て、「あっ、これなら、お母さんはわかってくれる」って、なんか思ったんですね。

私は普段、彼女には何も説明できないし、誤解されてる気がするけど、「私が全部映ってる」と思って、それがきっかけです。

「この仕事だ、これだ」って思って。

そこにいたスタッフの大人たちも奇人変人というのはなんですけれど(笑)、すごく楽しそうで、遊んでるように見えたんですね、お仕事じゃなくて、自分が好きなことを遊んでるように見えて。

声をかけても、ユーモラスなことが返ってくるし、他の大人たちとはまた、ちょっと違う…押さえつけられない、同等に見てくれてる感じがして。

境界線のない場所を見つけたって感じでした。

 

 

私は、どちらかというと“のろま”で、ちょっと想像力が激しすぎて、いい意味で(笑)少し変わっていて、本とかも好きになった本は、何冊も読むんじゃなくて、ひとつの本を何回も何回も読んだりとか、音楽もひとつのCDを100回くらい…自分に自然に馴染んでくるものがやっぱり好きで、音楽なんかも空気中に散らばしながら聴くんですよ。”音楽を聴く”っていうんじゃなくて、他のことしながら何百回もかけてるうちに、そのリズムと生活のリズムがいっしょになって気持ちがよくなってくるとか。

 

今も、セリフの覚え方なんかが、そういうのに影響していて。

1回(台本を)見て、(セリフを)覚えないで、覚えないうちに感情だけ取って蓋閉めて、街を歩いたりとか、自転車に乗ったりとかしながら、自分の中に初めて読んだ時の感覚を、いろんな空気に触れさせながら叩き込んでく作業をして、それから後でまた台本を読んで、「あっ、違った」とか思うともう1回。

だから、決まったことを覚える作業からじゃなくて、自分がなんとなく感じたことを散らばして、後から固定するっていう作業が…。

 

(演じる前の準備では)私は、文章で残っていることとか、映像で残っていることとか、本人にインタビューしてわかり得ることは、できるだけ多く取材します、するタイプです、時間の許す限り。

あとは、場所があったら現地に行って、現地で何も考えないで暮らしてみるとか、しばらく。

自分が目的のために行動することをやめます。

この人を演じるから、この勉強をしようというんじゃなくて、まるで自分が、そのことが生きることに必要かのように、そこの場所で暮らして感じ取る。

机の上だけでは見えてこないことを触れながらやってみるっていうのは、なんかちょっと一瞬、仕事のことは忘れて準備をするっていう時間もありますね。

共鳴する感覚、ここに他の人がいたら、その人とともに行動する、この人と同じようなレベルでものを見たりとか、同じ視線に立ってみるっていうことを繰り返すことっていうか。

 

どこにいてもわりと…「あっ、こいつ一緒だな」って思うと話してくれることとか、それは人間だけじゃなくて自然環境もそうですけど。

私は、俳優さんの仕事はペテン師だとは思ってますけど、詐欺師だとかペテン師の仕事かもしれないけど、うそだけはつきたくないって思って、ずっと。

自分の感情の中から、うそが生まれてくるのだけは嫌だって、なんかおもしろく遊べることだったらいいけど…そういう役者なので大変面倒くさがられたりもするんですけど(笑)

「もうちょっと想像力働かせろよ」って言われたりすることもあるけど、そんな中で“奇跡の瞬間”に立ち会うんですよ、たくさん、もう説明のできないような、考えもつかないような事柄が目の前で起きるっていうか。

自分が今、何をやっているかもだんだんわからなくなってきて、みんな仕事中にあると思いますけど、ちょっと“レム睡眠状態”っていうか、あまりにも集中しすぎていて、だからこそ自由で、もうレム睡眠状態になってて、自分が誰か? ここに存在するものが何か? とか、もうもう関係ないみたいな。

空間の中に“ファー”って、宇宙空間に泳いでいるような気分になることが多々ありますね。

 

みんな、どういう仕事の仕方してるのかわかりませんけど、私は積み上げていくっていうのは私の中にはないんですね、1個1個積み上げていくって感覚がなくて、上に成長していくっていうのがなくて、もうぐるぐる回りながら成長していくっていうのがあるので、今、これを学んでから次のステップというわけじゃなくて、「これを学んだけど、待てよ、後ろを振り返ったら、また違うのがあった」っていう感じで。

何か違うものがあるんじゃないか? 違うものがあるんじゃないか? って思うので、ずーっとどこかで、いわゆる素人的な感覚が抜けなくて、「そろそろ、ちゃんとプロフェッショナルにならなきゃな」ってのは持っていますけど。

 

 

(3万年前の人間を演じるとしたら)今とは残ってるものがガラッと違うでしょうし、いわゆる沖縄とか奄美大島で受け継がれているユタさんとかノロさんっていわれている神が降りてくる文化は、またもうちょっと近年のものかもしれないですけど、とりあえず、知ってる人全員に「3万年前ってどうだったの?」って、まずインタビューしに行って、誰かがヒントをくれるかもしれないし、あと現地に生きている子供たちっていうのは、その場所、その土地から生まれてきたばっかりの子って謎のことを言うような気がするから、そういう子たちにヒントをもらいに行ったりとか。

とにかく、その土地に根付いてきた人たちの声が一番なので、私は触ると思います、手をつなぐこと…おばあさんと「手を5分間つながせてください」っていって、よく。

なんとなく、解明できないものが体に入ってきて、いいことが思いつくんじゃないかとか。

 

 

私ずっと、考古学とか、そういう人類のこと調べてる人は絶対、役者さんと同じ感覚だと思うので、仕事がなくなったらそういうのの助手とかになろうって、ずっと思ってて。

 

NHKSWITCHインタビュー 達人達』より)

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