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表現者の流儀 #192 村田沙耶香

村田沙耶香(むらたさやか 1979814日‐)

小説家

 

代表作に、『ギンイロノウタ』、『しろいろの街の、その骨の体温の』(第26回三島賞)、『コンビニ人間』(第155回芥川賞)など。

 

 

(『コンビニ人間』の)タイトルは、けっこう後で決めて、最初は全然違う話を書いてたんです。

でも、けっこう前の作品で書き残してたことを書くことが多くて、編集さんに「もし前の作品とかぶってたら言ってくださいね」って言ってお見せして、「かぶってます」ってすごい正直に言ってもらって、「確かに、言われた通りだ」と思って、1回全部捨てようと思って。

まったく捨てると、かえって進む時があるので、今までの原稿を全部捨てて、「さて何を書こう…」と思った時に、コンビニを舞台にしてみようかなって、なんか急に思いついて、急にノリノリになって書いて、そうしたら「これで最後まで完成させましょう」ってことになって、ガーって完成させました、半年くらいですね。

 

 

寝る前は、すっごい、お話を考えないと寝れないです、いろんなお話を。

「休日、何してるの?」って言われると、大体、それこそ音楽とか聴きながらお話しを作ってるんです。

たんなるお話しを(頭の中で)作って、その空想の時間がないといられなくて。

それで、コンビニでバイトしてた原因のひとつは、コンビニでバイトすると、その空想の世界から強制的に帰ってこれるので、そうするとやっと小説が書ける状態になって。

コンビニって15分だけ、5時間で15分だけ休憩があって、その時にものすごい溜まってた空想がぶわっと出てきて、ものすごいメモを取るんです(笑)

そのメモが、すごい大事だったりするので、コンビニっていう場所で本当にいっぱい文字を書いたなぁって思っていて。

 

 

歩いてると、わりと映像が浮かんでくるので、小説のことを考えたり、あと全然関係ないお話を作ったりしながら歩いてる時間がないと、ちょっとイライラしてしまう。

いっぱい歩きたいです。

 

 

けっこう近所に住んでる人から…(自分は)お話しを作りながら笑ってるらしくて、「村田さんが笑いながら歩いてて、たぶん小説のこと考えてるんだろうなと思って声掛けられなかったよ」って後から言われて。

恋のお話が多かったりするから、恋してる2人物語とかを想像してニヤニヤしてるみたいで、それをけっこう目撃されてるってことに最近気がつき…(笑)

家とかでは、なんかもう自分の作った空想の話なのに、「なんで別れてしまうんだ」とか言って泣いてる時があります(笑)

そのグッとくる感じを作りたくて、たぶん空想をしてるんだと思います。

 

 

(小説家に)なるもんなんだと思ってたんですよね、(小学生の頃から)小説を書いていたらいつの間にか…。

賞(群像新人文学賞優秀賞)を取ったのは、デビューをした、大学を卒業してからなので、誰にも見せてなかったので。

誰かに見せるっていうことは、すごい勇気がいることで。

たぶん子どもの頃、友達に「小説見せて」って言われると、見せる用の小説を書くんです、で、それを見せちゃうんです。

で、自分の書いた本当の小説は家にこっそり、ワープロの中に隠していて。

小さい頃は、少女小説家になりたかったので…少女小説って何だろう…まぁ、ちょっと不思議な男の子と…それこそサンタクロースの男の子と学校の先生が恋愛するとか、なんかそういうファンタジー…それなのに急に人が死んだりとか、めちゃめちゃだったので…。

 

 

(小説を書くことは)自分にとっては、お祈りをするような場所でした。

たぶん、小さい頃から本当におとなしくて内気で…幼稚園とかでも同い年の子とは怖くて、あんまり話しかけられなくて。

すっごいおとなしくて泣き虫で、それですごく気ばっかりつかって、自分の意見とかが言えないというより、自分の意見がわからない、何なのかすらわからない、みんなが平和でニコニコしてればとにかくそれでよくて、自分の意志がどこにあるのかわからないっていう子供だったので。

でも、小説でだけは自由になれた。

なんか誰の顔色もうかがわず自由になれたし、あと小説は空想と違うのは言葉があるから。

言葉って自分をどこかへ連れて行ってくれるので、思いがけない予想外の場所へ言葉とか物語の力が…人物が動き出すとかよくいうんですけど、子供ってとくにそういうのに振り回されるので、人物が本当に動き出してしまって、どんどん引きずられて、自分では想像もつかない場所に連れて行かれるのがすごく楽しくて。

自分にとっては唯一、お祈り、聖域、そういう場所、今でも。

 

だから、大人の事情に合わせて書くっていうことが全然できなくて(笑)

大人の事情が、なんとなく感じられても、なんか忘れてしまうんですよね。

大人になったら、もっとちゃんとしないととか…おとなしく、クラスでも全然喋らなくてもいられるのは子供だからみたいに言われるし。

子供の頃、大人になったらきっとこうなるのかなって思ってた、ならなきゃいけないだろうなって思ってた自分が、結局ならないまま小説を書いている気がします。

 

 

小説家ってもう、編集さんとずっと体当たり、もう本当に相撲みたいな体当たりで、お互い裸で体当たりみたいな感じでずっと…そういうイメージがあります。

作品は楽譜だっていうたとえにいうと、(編集者は)試し弾きをしてくれる人みたいな、「こういう音ですよ、ジャーン」って鳴らしてくれる人のような存在で。

その音を聴いて、「あぁ、なんか、あそこの部分の音が強すぎるな」って、なんかそういう。

だから、一番最初に自分の作品を演奏してくれる人っていうリスペクトがあるんだと思います。

それで裸でぶつかり合うみたいな感じで(笑)

 

 

私の尊敬している先生の言葉で、「作者は小説の奴隷である」っていう言葉を聞いて、大事にしていて。

私にとっては「いやだな」って思う方向に物語が転がっていたとしても、それは壊しちゃいけないというか。

とにかく、たとえばハッピーエンドに絶対したいからとか、あるいはそれを壊したりっていうことしてはいけないなと思っていて。

とにかく、物語の力みたいなものに逆らわないように、それには従うように、それだけは昔からわりと心がけています。

 

 

今のところ(コンビニのバイトは)続けるつもりでいて、バイトしてるとメチャメチャ原稿が進むっていう何かがあって。

コンビニでバイトしながら、またまったく新しいものを書いていけるといいなと思います。

 

NHKSWITCHインタビュー 達人達』より)

 

 

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