表現者の流儀 #194 宇多田ヒカル

宇多田ヒカル(うただひかる 1983119日‐)

シンガーソングライター

 

 

(子供の頃は)あんまり積極的に歌を身につけようとか、覚えようとかっていう意識はなかったですね。

私がただ覚えてるのは、(11歳くらいの時に)「自分で作ってみたら」って言われて、「わかった」って言って、じゃあどうしたら曲って作れるんだろうってとこから考えて。

自分がただ好きで聴いていた、その時に聴いてた曲を2、3曲聴いて、まず構成から、「あっ、なるほど、イントロが8小節だな。で、まずメロディのパターンがひとつ、これAメロってやつか」って感じで。

 

 

なんか、言い切るって結局、否定なんですよね、そうじゃないものを否定してるじゃないですか、たぶんそれがすごく嫌で。

否定も肯定もしないっていうとこ目指して、人と接する時も、自分の考えをまとめる時とか、まぁ作詞する時とか、それ私はすごく大事です。

 

 

私もバス、すごい好きですね。

景色が流れていってる状態って、すごく作詞とかしやすいんですよね。

「よし、じゃあ仕事しよう!」って思ったらバスに乗ったりするんですよね。

タクシーとか乗っちゃったら高いじゃないですか、乗り回したら。

でも、一番は歩くのが好きです。

歩ける距離なら歩いちゃいます。

歩くっていうのが一番、アイデア出てきます。

 

 

テレビとか、周りで会う人とか、お店の店員さんとの会話とか、日常的にものすごい量の言葉にさらされるじゃないですか、東京にいたら日本語すごくいっぱい聞くし、見るし。

で、そのほとんどがあまり…あんまり意味のないものだったり、ほんと、コミュニケーションツールみたいな。

そういうのが全部なくなって、たぶん唯一入ってくる日本語が小説とか、時代的に全然ずれてるような過去の作品とかばっかり読んでたんで。

「久しぶりに、日本語の何か読みたい」と思って、パッて読んだのがそれで、すごく刺激的だったんですね、「あっ、日本語ってこんなに美しいんだ」とか。

それはでも前からわかってたけど、なんか忘れてたとか。

こういう方向を目指したいというか、目指さなきゃ意味ないって思って、「揺れる若葉に手を伸ばし」とか、ちょっと和を感じるような、大和言葉みたいな、そういう方向に行きたいなって思いましたね。

 

(フジテレビ『Love music』より)

 

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表現者の流儀 #193 宇多田ヒカル

宇多田ヒカル(うただひかる 1983119日‐)

シンガーソングライター

 

 

自らが親になったことと、2016年の音楽活動の再開についての発言。

 

もし、母が亡くなった後に妊娠していなかったら、今もし子供がいなかったら、たぶんアルバム『Fantome』を作ったり、仕事始めようと思えてないと思います。

 

自分が親になると、「おもしろいな」って思ったのは、自分の子供を見てて、生まれて最初の体験ですとか経験で、一番人格の基礎となるものとか世界観とか形作られていく、形成されていくわけじゃないですか。

なのに、その時期のこと、自分、完全に忘れてるって凄くないですか?

つまり、すべて無意識の中にある、闇の中にあるみたいな。

で、それをみんな抱えて生きてて、そこからいろんな不安とか悩みとか苦しみが出てくると思うんですよね。

「なぜ私はこうなんだ?」、「なんで、こんなことをしてしまうんだ?」とか。

自分が親になって自分の子供を見てると、最初の自分の空白の2、3年が見えてくるっていう。

「あぁ、私こんなんだったんだな」って、こんなことを親にしてもらって、たぶん、こんなことをしてて、こんな顔しててとか、というのが見えて。

これって結局、親に対する感謝ですとか、自分がどこにいるのか、「ふわっ」て見えた瞬間っていう感じで。

ずっと苦しんでいた理由みたいな…闇の…「わからない」っていう苦しみ、「なんで、こうなんだ?」っていう苦しみが「ふわっ」てなくなった気がして、それこそいろんなものが腑に落ちるというか。

 

 

もう、率直でないことが不謹慎っていうか、もう責任もって率直に、とにかくそこを目指して、がんばります。

自分に対して率直であるってことが難しかったですね。

やっぱ誰にも、「もっと率直になれ」とか、「もっと自分と向き合え」なんて、誰にも言われないじゃないですか。

別に私、歌詞のことも誰にも言われないし、でも自分と自分のやり取りでしかないんですけど。

まぁ作詞すると何かしら…そうですね、「こういうテーマになってきてる」って思うと、「私はそれをどう思ってるんだ?」、「どう感じてるんだ?」、「なぜだ?」みたいなことをどんどん…「どうしたいんだ?」、「何が言いたいんだ?」っていうのを、どんどん自分で突っ込んでいかないきゃいけないんですけど、それが今までで一番、本当…突き抜けるくらいそれを自分で求めて。

難しかったですけど、とても…あの…自分で答えられたなって思ってます。

 

NHKSONGS』より)

 

 

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表現者の流儀 #192 村田沙耶香

村田沙耶香(むらたさやか 1979814日‐)

小説家

 

代表作に、『ギンイロノウタ』、『しろいろの街の、その骨の体温の』(第26回三島賞)、『コンビニ人間』(第155回芥川賞)など。

 

 

(『コンビニ人間』の)タイトルは、けっこう後で決めて、最初は全然違う話を書いてたんです。

でも、けっこう前の作品で書き残してたことを書くことが多くて、編集さんに「もし前の作品とかぶってたら言ってくださいね」って言ってお見せして、「かぶってます」ってすごい正直に言ってもらって、「確かに、言われた通りだ」と思って、1回全部捨てようと思って。

まったく捨てると、かえって進む時があるので、今までの原稿を全部捨てて、「さて何を書こう…」と思った時に、コンビニを舞台にしてみようかなって、なんか急に思いついて、急にノリノリになって書いて、そうしたら「これで最後まで完成させましょう」ってことになって、ガーって完成させました、半年くらいですね。

 

 

寝る前は、すっごい、お話を考えないと寝れないです、いろんなお話を。

「休日、何してるの?」って言われると、大体、それこそ音楽とか聴きながらお話しを作ってるんです。

たんなるお話しを(頭の中で)作って、その空想の時間がないといられなくて。

それで、コンビニでバイトしてた原因のひとつは、コンビニでバイトすると、その空想の世界から強制的に帰ってこれるので、そうするとやっと小説が書ける状態になって。

コンビニって15分だけ、5時間で15分だけ休憩があって、その時にものすごい溜まってた空想がぶわっと出てきて、ものすごいメモを取るんです(笑)

そのメモが、すごい大事だったりするので、コンビニっていう場所で本当にいっぱい文字を書いたなぁって思っていて。

 

 

歩いてると、わりと映像が浮かんでくるので、小説のことを考えたり、あと全然関係ないお話を作ったりしながら歩いてる時間がないと、ちょっとイライラしてしまう。

いっぱい歩きたいです。

 

 

けっこう近所に住んでる人から…(自分は)お話しを作りながら笑ってるらしくて、「村田さんが笑いながら歩いてて、たぶん小説のこと考えてるんだろうなと思って声掛けられなかったよ」って後から言われて。

恋のお話が多かったりするから、恋してる2人物語とかを想像してニヤニヤしてるみたいで、それをけっこう目撃されてるってことに最近気がつき…(笑)

家とかでは、なんかもう自分の作った空想の話なのに、「なんで別れてしまうんだ」とか言って泣いてる時があります(笑)

そのグッとくる感じを作りたくて、たぶん空想をしてるんだと思います。

 

 

(小説家に)なるもんなんだと思ってたんですよね、(小学生の頃から)小説を書いていたらいつの間にか…。

賞(群像新人文学賞優秀賞)を取ったのは、デビューをした、大学を卒業してからなので、誰にも見せてなかったので。

誰かに見せるっていうことは、すごい勇気がいることで。

たぶん子どもの頃、友達に「小説見せて」って言われると、見せる用の小説を書くんです、で、それを見せちゃうんです。

で、自分の書いた本当の小説は家にこっそり、ワープロの中に隠していて。

小さい頃は、少女小説家になりたかったので…少女小説って何だろう…まぁ、ちょっと不思議な男の子と…それこそサンタクロースの男の子と学校の先生が恋愛するとか、なんかそういうファンタジー…それなのに急に人が死んだりとか、めちゃめちゃだったので…。

 

 

(小説を書くことは)自分にとっては、お祈りをするような場所でした。

たぶん、小さい頃から本当におとなしくて内気で…幼稚園とかでも同い年の子とは怖くて、あんまり話しかけられなくて。

すっごいおとなしくて泣き虫で、それですごく気ばっかりつかって、自分の意見とかが言えないというより、自分の意見がわからない、何なのかすらわからない、みんなが平和でニコニコしてればとにかくそれでよくて、自分の意志がどこにあるのかわからないっていう子供だったので。

でも、小説でだけは自由になれた。

なんか誰の顔色もうかがわず自由になれたし、あと小説は空想と違うのは言葉があるから。

言葉って自分をどこかへ連れて行ってくれるので、思いがけない予想外の場所へ言葉とか物語の力が…人物が動き出すとかよくいうんですけど、子供ってとくにそういうのに振り回されるので、人物が本当に動き出してしまって、どんどん引きずられて、自分では想像もつかない場所に連れて行かれるのがすごく楽しくて。

自分にとっては唯一、お祈り、聖域、そういう場所、今でも。

 

だから、大人の事情に合わせて書くっていうことが全然できなくて(笑)

大人の事情が、なんとなく感じられても、なんか忘れてしまうんですよね。

大人になったら、もっとちゃんとしないととか…おとなしく、クラスでも全然喋らなくてもいられるのは子供だからみたいに言われるし。

子供の頃、大人になったらきっとこうなるのかなって思ってた、ならなきゃいけないだろうなって思ってた自分が、結局ならないまま小説を書いている気がします。

 

 

小説家ってもう、編集さんとずっと体当たり、もう本当に相撲みたいな体当たりで、お互い裸で体当たりみたいな感じでずっと…そういうイメージがあります。

作品は楽譜だっていうたとえにいうと、(編集者は)試し弾きをしてくれる人みたいな、「こういう音ですよ、ジャーン」って鳴らしてくれる人のような存在で。

その音を聴いて、「あぁ、なんか、あそこの部分の音が強すぎるな」って、なんかそういう。

だから、一番最初に自分の作品を演奏してくれる人っていうリスペクトがあるんだと思います。

それで裸でぶつかり合うみたいな感じで(笑)

 

 

私の尊敬している先生の言葉で、「作者は小説の奴隷である」っていう言葉を聞いて、大事にしていて。

私にとっては「いやだな」って思う方向に物語が転がっていたとしても、それは壊しちゃいけないというか。

とにかく、たとえばハッピーエンドに絶対したいからとか、あるいはそれを壊したりっていうことしてはいけないなと思っていて。

とにかく、物語の力みたいなものに逆らわないように、それには従うように、それだけは昔からわりと心がけています。

 

 

今のところ(コンビニのバイトは)続けるつもりでいて、バイトしてるとメチャメチャ原稿が進むっていう何かがあって。

コンビニでバイトしながら、またまったく新しいものを書いていけるといいなと思います。

 

NHKSWITCHインタビュー 達人達』より)

 

 

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表現者の流儀 #191 西川美和

西川美和(にしかわみわ 197478日‐)

映画監督、小説家

 

代表作に、映画『蛇イチゴ』、『ゆれる』、『ディア・ドクター』、『永い言い訳』など。

 

 

関係性について書いてしまうのはもうね、ほとんど無意識ですね。

自分がその…他者との関係をテーマにやっていく作家だっていうふうに決めているわけではなく、上手くつながれないこと、ディスコミュニケーションといわれるものに、どうしても興味がいっちゃうんですよね。

だから、無意識にそういうモチーフを取り上げているんですけど、今回の(映画『永い言い訳』)主人公は自分自身の曲がった自意識であるとかね、弱さだとかそういうものは、より濃く投影した部分があると思います。

 

 

あたしねぇ…じつのところ目の前のことしか考えてないんですよね。

何かの賞をもらうとか、大きな映画祭に出るとか、そういうことって映画のビジネスとしてはとても大切なことだし、一応その…チームの目標としては持っているし、出たいし、賞ももらったらいいんだけど、本当のところで、根っこのところではね、何にも考えてないんですね。

だからね、自分のためにしか作ってないと思います。

 

 

いい年をして、子供を育てたこともないっていう…子供がいないまま中年になった人間の身の置き場のなさであるとか、それが悪いことではないんだけど別に。

ただなんかその…世界に対しての自分の立ち位置っていうのが、どんどんわかんなくなっていくんですね。

それってね、20代とか30代の前半にはもう自分の人生で実現することに必死だから感じなかったんだけれど、そういう自分の中に重なってくるいろんな負い目とか引け目みたいな、それが年齢相応のそういったものを、とっても自分自身、語ることも恥ずかしいんだけど、ある意味、その自分の足りなさだとか欠落を逆手にとって、絶対、自分だけじゃない、この欠落感とか、寄る辺なさを感じてる人間はっていう…そこはまぁ賭けなんだけれど、そこも含めて自分の欠落や恥を出せば、まぁこれだけ物語がすでにある世の中で、またちょっとだけ新しい角度をね、投じられるんじゃないかなと思った、というところかな。

 

 

言わないですね小説家とは、自分からはね。

やっぱり、背負う覚悟がないから…覚悟の問題じゃないですか。

だから、私は映画は下手でも背負ってるんですね、背負ってる気持ちでやってるんですよ。

で、小説は背負ってないです、まったく。

小説のほうが自分は自由になってる感じがするんだけれど、でもね、自由でいられるのは私がプロじゃないからですよ、たぶん、それは。

 

 

俳優って肉体が、具体的な肉体が入ってくると、正直いって自分がイメージしたものとはズレがあるし、違うといえば違うんですよね。

ほとんどその…他の人を入れてやるっていうことは、はっきりいって妥協とね、落胆の連続ですよ。

だけど、それをなんか…崩壊ととるか…変化と受け取るか…そこだと思うんですけどね。

結局ね、なんか振り返ってみると、自分が完璧に支配して作り上げたOKの箇所よりも、なんかこう…いろいろな偶然が重なったりだとか、場所とか天候とか、俳優が出してきてくれた自分が思いつかなかったところが…そういうシーンのほうがね、後々はね、好きなんですよね。

 

 

快感はねぇ、ないんだけどね、現場では。

ないんだけど、終わると何か、寂しくなるというより、その場所自体が非常に愛おしく感じますねぇ。

「あぁ、あんないい場所があったのに、あたしは毎日、あぁ上手くいかない、上手くいかないって言ってるばっかりだなぁ」っていうふうに気づいてしまいます。

だから、次こそは、ね、もっと違う形で人を生かして、上手くコミュニケーションとって、と思って話を書くんだけど、また現場に戻ると…あれですね、上手くできない、目の前の人を大切にもしない。

 

終わる。

終わると、まぶしく見える。

その繰り返し。

 

 

(映画のスタッフを)そんな、手放しにね、ほめられないです。

でも、それがね、血の通った関係性じゃないですか。

私はまぁ、家族がいないから、両親以外…そういう意味で、ある意味、家族的な…人との関係性も映画という表現手段そのものも、自分の家族のように近いものになってるんじゃないですか…愛憎。

やっぱり、いろんな人が関わり、いろんな人が汗をかく映画っていう仕事に身を置けてることが、やっぱりありがたいなぁと思うようになりました。

けど、それも最近ですね、ほんとに。

 

NHKSWITCHインタビュー 達人達』より)

 

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表現者の流儀 #190 太原雪斎

太原雪斎(たいげんせっさい 1496年‐15551123日)

戦国時代の武将、臨済宗の禅僧

 

今川家の家臣として、今川義元の少年時代に教育係を務め、その才能を見出す。

後に義元が第11代当主になると、これを補佐して内政、外交、軍事で手腕を発揮し、今川家の全盛期を築き上げた。

 

幼い頃、禅寺で修行していた今川義元に対し、戦国大名になるために諭した言葉。

 

 

おのれの才、たかが知れたものと観じきってしまえば、無限に外の知恵というものが入ってくるものだ。

 

NHK『知恵泉』より)

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表現者の流儀 #189 ジャック・ブルース

ジャック・ブルース(1943514日‐20141025日)

ミュージシャン

 

エリック・クラプトンらと結成した伝説のバンド「CREAM(クリーム)」のベース、ヴォーカルとして活躍。

 

代表曲のひとつ『サンシャイン・ラヴ』(1967年)を書いた頃の回想。

 

 

誰もやっていないことをやりたかった。

オリジナルで新しいサウンドを作りたかった。

ポップ・ミュージシャンでない僕が作るポップ・ミュージックは、ビートルズやビーチボーイズなどの影響を受けている。

彼らをマネして作ろうとしたが、僕はポップ・ミュージシャンじゃないから、試行錯誤の後、結局、独自のサウンドを作りだした。

 

リフを聴いた途端、エリックがブリッジ部分を弾いたのを覚えている。

“安産”で生まれた曲だからパワーに満ちているんだ。

天から降ってきたように突然、生まれた曲で、生まれた瞬間に僕らの手を離れていた!

 

僕らは巨大な山に素手で立ち向かって、ロックという彫像に変えたといえるかもしれない。

あとは神様が僕に、あのリフをくれたことに感謝するだけだ。

「神様、ありがとう!」ってことさ。

 

BS-TBSSong to Soulより

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表現者の流儀 #188 石田衣良

石田衣良(いしだいら 1960328日‐)

小説家

 

代表作に、『池袋ウエストゲートパークシリーズ』、『4TEEN』など。

 

 

小説は、上手く誤魔化さないといけないんですよ。

きっちり、ぎゅーって書くところと、本当にポツっとだけ買いて余白を残しておいて、想像してもらう…そのバランスが上手く取れると、作品としては大きな嘘が本当のことになるんですね。

 

その時(余白を残す時)にはね、本当はなるべく具体的な“物(ぶつ)”があるといいんです。

それこそ、例の(未だ見つかっていない卑弥呼が魏の皇帝から与えられたという)金印だったりする…イメージが強いものを置いて、そこの周りに「これは何だろう?」と想像させたうえで、歴史的にはこうだっていうのを、こっちで固めておくんですね。

そうすると大きな嘘で、“ジャカルタに卑弥呼がいた”みたいな話になるわけです。

 

NHK『知恵泉』より)

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表現者の流儀 #187 ロビン・ギブ

ロビン・ギブ(19491222日‐2012520日)

シンガーソングライター

 

兄弟であるバリー・ギブ、モーリス・ギブと「ビージーズ」を結成後、数々のヒット曲を世に送り出す。

 

代表曲に、映画『小さな恋のメロディ』のテーマ曲『メロディ・フェア』(1969年)、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』の劇中曲『ステイン・アライブ』(1978年)、『愛はきらめきの中に』(1977年)など。

 

 

僕も(双子の兄の)バリーも、どうしようもないロマンティストなんだ。

僕らの歌詞を読めばわかるだろう?

僕らは他の男なら絶対に書きそうにない歌詞を書く。

自分の感情をストレートに出すんだ。

だからこそ、今も聴かれているんだろう。

 

僕らにとって、いい音楽と悪い音楽の2種類しかない。

僕らの曲は今でもラジオでかかる。

だから、僕らの音楽は僕らの自慢なんだ。

僕らは良いアルバムを作ったという評価だ。

 

僕らは真剣に曲を作り続けてきた。

時代を超えて聴き継がれる曲を作ろうと、いつもがんばってきたんだ。

映画のために書き下ろした曲なんてない。

僕らはいつも、次の世代にも聴き継がれるいいアルバムを作ろうとがんばってきただけだ。

 

BS-TBSSong to Soulより

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表現者の流儀 #186 山口桂

山口桂(やまぐちかつら 1963年‐)

オークションスペシャリスト

 

250年の歴史を誇る、世界最大のオークションハウスであるクリスティーズの東洋美術部門の統括者。

世界中から価値あるものだけを集め、オークションに出品する美術品の目利き。

 

 

果報は、“動いて”待て。

 

何しろ情報が命なんですよ、この仕事は。

高額作品はやっぱり、いろんな意味でコンフィデンシャル(極秘)な部分が非常に多くて。

その中で、やっぱり本当に良いものが動きそうだとかっていう話は、それなりの人しか知らない情報である。

だから、仕事がなくても人に会うわけ。

そこに、いろんなチャンスが…「そういえばさ」みたいな話が意外とあって、そういうものをキャッチしていく。

 

 

たとえば、お茶碗でも、いい箱に入ってると何となくよく見えるけど、じつは“へっぽこ茶碗”だったりするわけですよ。

それはなぜならば、そういうふうな悪いことを考える人がいるわけ。

へっぽこ茶碗に、どっかのいい箱つけてね、売れば、何となくよく見える。

(しかし)どんなに貧しい箱に入っていても、「おぉ、これは!」って、やっぱりわからないといけないじゃないですか。

そこに僕の仕事は尽きるよね、偽物を売るわけにはいかないからね。

 

 

金の問題じゃないと思います、この話は。

すごい大金持ちの個人がいて、「僕が買いますよ」と、だけど買った物は俺の好きにする、みたいな人には僕は絶対に持って行かないもんね、それは売れるとしても。

必ずいいところ(買い手)を見つけるのが仕事。

 

 

僕がやってるアンティーク(古美術品)は、やっぱり100年、1000年と人の手から手へ渡ってるわけでしょ。

その中の、ほんと一時期、ほんの1回、ちょっとパッと橋渡しをするだけなんですけど、それをちゃんとしたところに納めるっていう使命感みたいなのもあるし。

後世に残す…なんていうか、一助をするということですよ。

 

 

日本美術品だから日本人がわかるなんていうのはね、妄想でしか過ぎない。

いや、俺が日本人だっていうんだったら、もっとやっぱり勉強しなきゃダメだなって思いましたよね。

それぐらい日本のことを学んだり、やってる人は外国にいるってことですよ。

 

 

(プロフェッショナルとは)ビジネスの最大の、なんて言うかな、いいチャンスっていうのは、人づきあいとか、ご縁とかっていうとこからね、それを大事にすることによって、やっぱりいい仕事ができると思うんで、うん。

人を大事にすることができて、そこからいいビジネスを作れる人のことですかね。

 

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』より)

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表現者の流儀 #185 トム・ダウド

トム・ダウド(19251020日‐20021027日)

アメリカの音楽プロデューサー、エンジニア

 

コロンビア大学の物理学研究室に勤務していた第二次世界大戦中、工兵として原子核工学を研究。

退役後は物理学の知識を生かした音作りで、アトランティック・レコードの黄金期を築いた。

 

プロデュースを手掛けたアーティストは、アレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、エリック・クラプトン、オールマン・ブラザーズ・バンド、デレク・アンド・ザ・ドミノス、シカゴ、プライマル・スクリーム、リタ・クーリッジ、レイ・チャールズ、レーナード・スキナード、ロッド・スチュワートなど多数。

 

 

トム・ダウドの元でエンジニアを務めていた、ハワード・アルバートとロン・アルバート兄弟の回想。

 

 

トムは大変なインテリで、とにかくいろいろなことに造詣が深かった。

何より、人の意見を引き出すのが上手かったんだ。

自分の意見を相手に、まるで相手自身の意見のように思わせるのが上手かったとも言える。

僕らはトムからヒット・レコードの作り方を習った。

 

 

アーティストの中には、アイデアを練り上げるのに時間がかかる人もいるからね。

トムは絶対に相手を急かさなかった。

待っても満足するものが録れなかった場合には、翌日また録り直せばいいという態度だった。

最後に完成した最高のものしか部外者には聴かせなかった。

僕らは、「録音テープなんか安いもの」という哲学で録音していたんだ。

だから、スタジオの連中に「これからテイク1を録る」なんて、一度も言わなかったんだ。

テープレコーダーは、つねに録音状態になっていた。

スタジオのアーティストには、録音中であることを気づかせずに録音するよう心がけていた。

スタジオでジャムセッションが行なわれている時は、いつも録音していた。

これは、あらゆるアーティストのアルバム制作において、とても役に立った。

デレク・アンド・ザ・ドミノスの時は、特にそうだった。

 

BS-TBSSong to Soulより

 

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